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スターター<The 6th Of January>のイントロ、ちょっと聴き慣れない弦楽器のカッティングに、思わず引き込まれる。ダルシマー? それともマンドリン? 咄嗟にローラ・アラン<Opening Up To You>のイントロが耳の奥で鳴り始めた。でもどちらもチョッと違うみたい。答えは、グリフォンというユニークな弦楽器。世界的評価を受けるカリフォルニアの老舗アコースティック楽器工房が組み立てるリペア楽器の一種らしく、エイミーがクリップで弾いている3弦の竿モノがそれのようだ(詳しい方、教えて!)。で、それを弾いているのが、シンガー・ソングライターでもあるマック・マクナリー。米国では大スターだったジミー・バフェットのバック・バンド:コーラル・リーファー・バンドのディレクターとして活躍していたが、3年前にバフェットが逝ったあと名前を聞かないと思っていたら、嬉しいコトに、こんなところでプロデュース・ワークをこなしていた。

この『THE ME THAT REMAINS』、実はエイミー・グラントにとって、何と13年ぶりのオリジナル・アルバム。企画モノのクリスマス・アルバムを入れても、約10年ぶり。17歳でデビューした後、教会などで手売りされていたCCMの作品を、一般レコード・ショップに流通するように仕向けたほどの人気シンガーで、ポップ・シーンでもピーター・セテラとのデュエット<The Next Time I Fall>や<Baby Baby>の全米No.1ヒットを放っている。なのに何故そんなに長いブランクを…? 実は彼女、2020年に持病だった心臓疾患の手術を受け、その2年後には自転車事故で大怪我を負って、ナッシュヴィルの病院に長期入院。リハビリに励む毎日だったらしい。そこから復活できた感謝をテーマにした、今の自分を見つめ直す内省的作品なのだ。

全10曲中、冒頭の<The 6th Of January>ともう1曲を除く8曲が、エイミー自身と誰かの共作。その作曲陣にはプロデューサーのマックを始め、盟友マイケル・ W・スミス、そしてクリス・イートンと書いたバラード<Friends Like You>は、現在の夫ヴィンス・ギルとのデュエット。アルバムには、2人の間に生まれた愛娘もコーラスで参加している。ジャケットのエイミーのイラストを見ると、ちょうど胸のあたりに仲睦まじいヴィンスと彼女のアートワークがあしらわれており、なんかホッコリ。苦難を乗り越え、今は幸せなご両人なのだろうな。ヴィンスはイーグルスのツアーで忙しそうだけど…。

以前みたいなバリバリのポップ・サウンドから離れ、歌うことの喜びをしみじみと噛みしめているような、ごく自然体で作ったアルバム。エイミーは自分と同じ1960年生まれだから、既に60歳代も後半に入った。そりゃー大スターだって、イロイロあるさ。

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