williams sikstrom 3

スウェーデンの若手ホープから、8年ぶりのサード・アルバムがようやく。
30代になっての初作品で、
経験と成長を重ねた末の熟成されたサウンドに唸らされる。
でもそれを支えるAOR愛こそが彼の宝物だと、
聴き込むほどに身につまされて。


このウィリアム・シークストロームは、スウェーデンの若手AOR/ヨット・ロック・アーティスト。振り返ってみると、2ndアルバム『RUNNING OUT OF TIME』の日本リリースが18年初めだったから、実に8年ぶりの3作目になる。そもそもが学生デビューで、前作は理学療法士として働き始めたばかりのタイミングでリリース。しかも結婚したばかりだった。その後2児の父親となっているから、プライヴェートで忙しかったのは火を見るより明らか。それでも23年春に新曲〈Ja Ar Ditt Barn〉、翌年には〈Love Will Bring You Back〉がデジタル・リリースしていたら、そろそろ…、なんて期待が高まっていた。

『THE POWER OF THREE』というタイトルは、キリスト教と深く結びついたもので、聖霊が三位一体であるという教義を表すそう。それと自身3作目であることを掛けたワケだ。かといってCCMというほどストレートではない。日本では「音楽に政治や宗教を持ち込むな!」と宣う輩が少なくないけれど、欧米では、信仰についてオープンにするのは至って普通のこと。音楽は趣味!と割り切っているウィリアム君なら、尚更のコトだろう。

8年越えの長いブランクの間、ウィリアムはミュージシャンとしてもソングライターとしても成長し、新しい影響を受けたり、才能ある人たちと知り合うことできたと言う。具体的な大きな違いは、すべての楽曲に生のドラムを入れたこと。前2作はほとんどウィリアムの打ち込み及びワンマン・プレイで構築していた。そのため、全体的に以前よりもずーっと情感豊かに。初めてスウェーデン語で歌ったナンバーを収めたのも、新しい試みだ。これは先行リリースの〈Jag Ar Ditt Barn〉が、他の国のストリーミング・サイトで好評だったので、枠を広げたというコトらしい。

長い時間を費やして作ったアルバムだそうだが、実際は意外に音数が少なく、ライトでアッサリした印象を受ける。緻密に音を積み上げたのではなく、音をよく吟味し、本当に必要な音だけで構築したのだ。だからエアリー。リアル・ドラムが叩き出すグルーヴ感、表情の豊かさがヴィヴィッドに伝わる。一種の “引きの美学” とでも言うか。至ってマイペースであるが、それがまたペイジス愛に満ちた彼らしさ、なのだな。

筆者監修【Light Mellow Searches】から、来週27日のリリース。是非チェックを。

《amazon》
ザ・パワー・オブ・スリー【監修・解説:金澤寿和(Light Mellow)】
ウィリアム・シークストローム
Pヴァイン・レコード
2026-05-27

《Tower Records はココから》