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大好きな英国ブルー・アイド・ソウル・シンガー、ポール・キャラックの最新作は、ビッグ・バンドとの共演によるスペシャル・ライヴを収録した豪華2枚組。彼がエース在籍時に放った代表曲<How Long>の誕生50周年のアニヴァーサリー公演(75年全米3位)で、24年10月にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでレコーディングされた。

共演しているSWRビッグ・バンドは、ドイツのシュトゥットガルトを拠点とする名門アンサンブルで、公営メディア企業が運営している。日本で言えばN響みたいなモノかな? 近年ではラリー・カールトンやイヴァン・リンスと共演している。ドイツにはもうひとつ、似たような出自のWDRビッグ・バンドがいて、そちらはケルンのメディアがマネージ。ボブ・ミンツァーやヴィンス・メンドーサが準レギュラーで音楽監督を務め、ジョー・ザヴィヌルやランディ・ブレッカー、ステップス・アヘッド、イエロージャケッツ、スティーヴ・ガッド、リッキー・ピーターソンらとの共演アルバムをリリースしてきた。海外のジャズ・アクトとの積極的共演は、WDRの方が早かったみたいだけど、立ち位置が似ていて少々ヤヤこしい。

ポールとSWRビッグ・バンドの共演は、05年のクリスマス・アルバムが最初で、その後も断続的に。とりわけテン年代終盤以降は、かなりのペースで共演を重ねている。個人的には、やはりコンボ形式のロック・アルバムの方が好みで、ビッグ・バンドものはスペシャル企画程度に留めてほしいところだけど、ポールのヴォーカルはいつだって、何を歌ったって素晴らしいから、コレはコレで充分に楽しめる。

ステージは2部構成で、前半はSWRビッグ・バンドとストリングスとの共演によるジャズやR&Bのスタンダード・カヴァー。後半はポールと彼のバンドで、スクイーズ時代の<Tempted>、再編イーグルスが歌った<Love Will Keep Us Alive>など、キャリア・ソングや最近の重要曲をプレイしている。そして
マイク・アンド・ザ・メカニックス時代の名曲<Living Years><Over My Shoulder>、そして<How Long>では、なんと150人で構成される合唱団:ファンキー・ヴォイセスを迎え、スケール感たっぷりのパフォーマンスを展開。そしてアンコールでは、再びSWRビック・バンドと共に、ラテン・ジャズ・アレンジの<Over My Shoulder>と<Trust In Me>を。

自身のレーベルからコンスタントにアルバム・リリースを続ける反面、ビジネスには無頓着で、自分のやりたいことをマイペースで行なっているポール・キャラック。実力派だけに、その無欲なスタンスは見ていて歯痒くもある。作品数は多いのに、どれもそこそこのデキで、代表作らしきアルバムがないのだ。だから少しペースを落としてイイから、もっとガツンと手応えのある本気のアルバムを創って欲しい。そう願わずにいられない。

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