casiopea_platinum lp

前々からご案内していた和製フュージョンを掘るビッグ・プロジェクト【Light Mellow presents J-FUSION Renaissance】。先行してコンピレーションCDの『HORIZON DREAM 2026』(筆者選曲・監修)、『HORIZON DREAM vol.1-3』(81~83年の名企画をCD2枚に集成・復刻)が発売されていましたが、いよいよ本丸のアナログ再発に突入。まずは4作、カシオペア『PLATINUM』、杉本喜代志『L.A. MASTER』、日野皓正『DETOUR』、ジョン海山ネプチューン『BAMBOO』が発売されました。このポストでは、その皮切りに、牽引役たるカシオペア『PLATINUM』をご紹介。

カシオペアの『PLATINUM』は、結成10周年を迎えたカシオペアが長年住み慣れたアルファ・レコードから独立し、ポリドール(当時)傘下に自分たちのレーベル“AURA”を立ち上げてリリースした移籍第1弾。オリジナル発売は1987年で、スタジオ・レコーディングのオリジナル作としては通算12作目。録音はニューヨークで行われ、その頃に流行っていたキレ味鋭いダンス・ビートを導入したのが特徴的だった。アルファ末期は若干迷走した感じやマンネリズムがあったので、心機一転、溌剌としたグルーヴが目立つアルバムに仕上がった。

ニューヨーク・レコーディングは、前作『SUN SUN』に続いて3度目。前年のブラジル公演で親しくなったシンガー・ソングライター:ジャヴァンがヴォーカルで、元タワー・オブ・パワーの名物サックス奏者レニー・ピケットが率いるホーン・セクション、ヨーロッパでのジャズ・フェスで知己を得た元マイルス・デイヴィス・グループのパーカッション奏者スティーヴ・ソーントンがゲスト参加。

でもそれより重要なのは、『SUN SUN』のワールド・ツアーに同行していたシンガー:楠木勇有行の参加だ。シティポップ方面でも再評価されるソウル系の実力派で、楠木恭介名義の初ソロ作『JUST TONIGHT』(85年)が人気。スタジオ・シンガーとして数えきれぬほどのTV-CMで歌っていて、某コーラのCMなど、ある世代なら誰もがその声を耳にしている、という人である。ただ『SUN SUN』でのヴォーカル導入に賛否が割れた直後だから、その起用にはかなりの工夫が。リード・ヴォーカルと言っても歌声は小さ目に抑え、歌詞よりメロディを感じさせるミックス。あるいはスキャットだったり、歌声をサンプリングみたいに散りばめたり…と、いわゆる歌モノ・スタイルにはなっていない。インスト・ファンの耳にも馴染むような手法で、歌声を半ば楽器のように扱う。それがココでの流儀だ。

一方で、エッジの立ったニューヨーク特有の空気感や音像は健在。ただしココにもトライはあって、振幅の大きなリラックスしたグルーヴにダンサブルな激しいビートを織り込んでいく。これほどアフタービートを強調したのは、カシオペア初だろう。従来の意匠を貫きつつ、時代の要請にも対応して、バンドをリフレッシュさせていく。そういうポジションのアルバムなのだ。

87年のアルバムなので、当時はCDとLPが同時発売、その後CDでは何度か復刻されたが、アナログでの再発が今回が初めて。初期LPの価格高騰に連なって、最近はコレもプレミア化していたので、お買い逃しなきよう。9月には移籍第2弾『EUPHONY』も出ます。



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