john kaizan neptune

引き続き、筆者が監修解説している和製フュージョン再発プロジェクト【Light Mellow presents J-FUSION Renaissance】から、6月分アナログ・リイシュー最後のご紹介。日本で活動する尺八奏者、ジョン・海山・ネプチューンの初期代表作『BAMBOO』(80年)。近年クラブ方面からスポットを当てられて、急速にインバウンド需要を高めている一枚で、自分の感覚としちゃ、アカデミックな支持にとどまっていた発売当時より、今の方が目ざとい音楽ファンの注目を集めている気がする。何せ以前は、和楽器をジャズやポップスに用いること自体がアヴァンギャルドで、何処か白い目で見られていたような状況。でも今は、純邦楽とポップスを混ぜたり、民謡をジャズにアレンジするなど、コラボレーション・クロスオーヴァーや和楽器フュージョンと呼ばれる新しいジャンルが浸透してきている。それだけでバックボーンが全然違っているはずだ。

カリフォルニア生まれでサーフィン好きが昂じてハワイ大学に入学、民族音楽を専攻して尺八に興味を持ったジョン・ネプチューン。後に来日して京都に住み、本格的に尺八を勉強。数年を費やして、都山流師範の免許と“海山”の雅号を取得している。そして日本古来の音楽を演奏したり、指導に当たりながら、現代シーンに尺八の魅力をアピールすべく、学生時代から好きだったジャズと尺八の融合を試みるようになった。

この『BAMBOO』は、ジョンの3枚目のソロ作品。でもジャズ・フュージョン作品としてアプリーチしたのはこれが初めてで、サックス/クラリネット奏者:荒川達彦を中心とする荒川バンドとの共演形式を採った。荒川バンドは同じ80年に『LENA』、81年に『HARD BOILED』を出していて、故・松田優作主演『野獣死すべし』のサントラ盤でも知られるところ。5管+リズム・セクション7人という準ビッグ・バンド的な大所帯の編成で、ハイノート・ヒッターとして名を馳せたトランペットの岡野等、作編曲も手掛けるトロンボーン:塩村修が在籍。ドラムは上田正樹&サウス・トゥ・サウスや高中正義グループにいた井上茂と、大橋純子&美乃家セントラル・ステーションやSHOGUNでプレイしていた見砂和照というダブル・ドラム体制だった。

アルバム・タイトル曲はクラブ世代のリスナーから注目されたジャズ・ファンク。スリリングな大曲〈Blue Wind〉は、オリエンタルなムードのビッグ・アンサンブルと尺八のコントラストが魅力的。荒川提供の〈Genji(源氏)〉は、彼が東京ユニオン・オーケストラ時代に作曲し、78年のモントルー・ジャズ・フェスティヴァルで絶賛されたナンバー。ジョンの尺八は音色が豊かさで、そのハイノートはフルートのようにソフトでリリカル。そしてロウ・トーンでは野太く荒々しい表情を描き出す。

かくしてこの『BAMBOO』は、昭和55年度文化庁芸術祭優秀賞を獲得。これはジャズ・アルバムとしても、また外国人アーティストの作品としても初の快挙で、翌81年にはニューヨークのレーベル:インナー・シティから全米発売されている。それをキッカケとしてジョンは、80年代前半に何枚かフュージョン色の強いアルバムをリリース。米欧や中国、東南アジアでもライヴを行なうようになった。近年は千葉県に工房を作り、創作と尺八製作に専心しているそう。和楽器を敬遠しているようなガチのジャズ・フュージョン・ファンは、目からウロコが落ちるかも。

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2026-06-24

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