jadoes 2 lp
jadoes 4 lp_

恒例のレコード・イベント【CITY POP on VINYL 2026】が、いよいよ週末開催。毎年、何らかのカタチで関わらせて頂いてますが、今年は数枚、解説を寄せました。従来のアナログ再発って、CDと違い解説を省かれてしまいがちですが、今回コロムビアの担当氏は、新規解説とその英訳の封入を実施。自分がジャドーズ、やまがたすみこの各2作、木村恵子『STYLE』の5作を執筆することに。シティポップに向かうスタンス、各アーティストの評価軸も国内外でまったく違ってきて、時に齟齬が生じたりしている今、そのギャップを埋めるのに役立てば…。そんな思いを込めてキーボードを叩きました。その5枚からまず最初にご紹介するのは、ジャドーズの最高傑作とされる『FREE DRINK』と、4作目の『DUMPO』。

『FREE DRINK』は、角松敏生のプロデュースでデビューしたジャドーズの2作目で、デビュー・アルバム『IT’S FRIDAY』から8ヶ月あまりと、矢継ぎ早にリリースされた(87年発表)。スタイル的には、シーケンサーやシンセサイザーを駆使して、当時のブラック・ミュージック最先端に斬り込んでいく作り。ジミー・ジャム&テリー・ルイス、ザ・システム、スクリッティ・ポリッティなどが良き手本になり、ジャドーズと角松が一緒になってサウンドメイクに取り組んでいた。出てくる音は当時の角松サウンドそのもので、いわゆるバンド・サウンドではなかったが、ジャドーズのメンバーも角松のやり方を貪欲に吸収し、血肉化していった。

この2作目が最高作とされるのは、メンバーのオリジナル楽曲が優れていたから。角松が曲作りに関わったのは、唯一〈The Time Takes You Away(時は雨の彼方に…)〉の歌詞だけ。対してダメ出しは多く、〈6月のフォトグラフ〉では相当激しくやりあったらしい。が、音楽とお笑いの狭間で揺れていた彼らに、それは確かなステップになったと思われる。メンバー5人によるリズム・トラックをフィーチャーした楽曲と、プログラム中心のナンバーとのバランスが絶妙で、そこに佐藤博のピアノや数原晋率いるホーン・セクションを追加。スケール感のあるゴージャスなオケが魅力的だ。

『DUMPO』は89年発表の4作目。ジャドーズ初のセルフ・プロデュース作品で、育ての親である角松はエクゼクティヴ・プロデューサーに。ただし、冠に“Vinyl Edition”とあるように、当時CDしか出なかった『DUMPO』を、そのままアナログ化したモノではない。CDは80分近く収録されているので、LPだと2枚組にするしか手がないのだ。でもそうなれば価格的なリスクが伴う。そこで〈STEP INTO THE CITY LIGHT 〉〈 Living in the night 〉〈Stay! By My Love〉をそれぞれシングル・ヴァージョンに置き換え、別エディション仕様に。熱烈なファンにはネガティヴに構えるムキもおありだろうが、オリジナルならすでに復刻されているCDがあるワケで、思い切って “裏DUMPO”的な別モノに仕立てたアイディアは適切だったんじゃないか。一部の元メンバーからはシビアな反応があったらしいが、意見の相違から櫛の歯が欠けていくように活動停止に向かったバンドだから、その良し悪しより、対立の根が今も深いことを感じてしまう。

それでもココには、角松の手を半ば離れたことでバンドの自由度が高まり、これまで蓄えてきたものをメンバー自ら実践した解放感や勢いがある。角松が表立って登場する場面は、メンバーと共作したタイトル曲でのギター、コーラス、スクラッチにコンピュータ・プログラムだけ。打ち込みトラック増量で生演奏の場は減ってしまったものの、それは当時のメンバーの総意だったはずだ。そしてこの後に続く90年作『DOGORODON JHAN』は、後期代表作というデキの良さに繋がっていく。今回は初のアナログ化ゆえ、ヴァイナル好きはどうぞお見逃しなきように。

《amazon》

《Tower Recordsはココから》

《amazon》

《Tower Recordsはココから》