
再発から1ヶ月、ようやくヨーコ・オノ『SEASON OF GLASS』の45周年記念盤(81年)を聴いた。世界を悲しみのどん底に陥れたジョン・レノン暗殺から、わずか7ヶ月後のリリース。当時、最初に話を聞いてすごく驚いた記憶があるが、逆に、別のコトに気持ちを向けて集中させていないと自分が保てなくなる、そんな心境だったのだろうと合点がいった。もちろん相当にタフなのは疑いないけど。
ジョンとヨーコの曲が交互に出てくる遺作『DOUBLE FANTASY』に対し、ヨーコ不要説を唱える声は大きかった。当時の自分は、70年代初頭のヨーコ作品群はまったく理解できてなかったけれど、『ジョンの魂』や『IMAGINE』に於ける彼女の存在の重要性は感じ取っていたので、世間が言うほどの嫌悪感は持ってなかった。それでも『DOUBLE FANTASY』の曲順を整理し、ジョンの曲だけ、ヨーコの曲だけをそれぞれまとめてカセットのA/B面に入れて聴いてみたら、かなり印象が変わってしまって戸惑った記憶がある。『ジョンの魂』や『IMAGINE』には敵わないにしろ、もしジョンの楽曲だけでアルバムを作っていたら…、そういう妄想が広がったのが事実だ。でもそのテープを作ったのが、ジョンの事件の前だったか後だったか、そこが定かじゃないんだけれど…。
でもこの『SEASON OF GLASS』を聴いて、ヨーコへの印象が大きく変わったのも、また確かだ。モヤモヤしていたものが何となく腑に落ちた、と言うか、やっぱりスゲェな、ヨーコさん…などと。撃たれ時にジョンが掛けていたベットリ血糊が付いたメガネ、そして水がが半分だけ入っているコップ、というアートワーク。悲しいメッセージと厳しい未来、そして、それでも世界は動いていくという現実、それが静かに一枚の写真で語られている。
雄叫びとか金切り声で叫ぶイメージのヨーコが、淡々と丸裸の声で、半ば無表情に歌っている。それがこの時点で彼女ができた精一杯だろう。でもそれが心に入ってきたから、彼女への自分の誤解や勘違い、苦手なトコロが氷解した。でもその分、痛々しく感じられてしまって、愛聴盤にはならなかった。気軽に聴いちゃいけない、そんな気がしていた。だからこのアルバムは、自分の中ではほとんど封印されて、マトモに聴くのはかなり久し振りだ。
プロデュースはヨーコとフィル・スペクター。でもスペクターは初期段階でクビになったと伝えられる。参加メンバーは『DOUBLE FANTASY』に近く、ヒュー・マクラッケン/アール・スリック(g)、トニー・レヴィン/ジョン・シーグラー(b)、アンディ・ニューマーク(ds)、マイケル・ブレッカー/ロニー・キューバ(sax)あたり。4発の銃弾を思わせる破裂音で始まる<No No No>とか、死の直前まで2人で作業をしていたというボーナス・トラック<Waking On Thin Ice>とか、今でも胸に迫るモノがあるけれど、45年が経ってようやく、シッカリ正面から聴けそうだな。
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