yes live 1976

怒涛の8月も終わり。この3ヶ月で2冊のディスクガイドを完成させ、あとは発売を待つばかり。併行してライナーも10本近く書いたし、恒例ライヴ・イベントLIVE Light Mellowも無事にハネた。…というワケで、ちょっと気が抜けてしまっている自分デス。でも9月初旬締切のライナーも何本かあるので、そうゆっくりはしてられないのだが。…とはいえ、ようやくこの2枚組ライヴをジックリ聴く時間的かつ精神的余裕もできまして。クルマでの移動中に、サブスクで断片的に聴いてはいたのだけどネ。

『ライヴ・アット・ルーズヴェルト・スタジアム1976(ROOSEVELT STUDIUM, JERSEY CITY 17 JUNE 1976)』は、ブートレグでお馴染みだったイエスの人気ライヴ音源。それが名匠バーニー・グランドマンのマスタリング、定番ロジャー・ディーンのアートワークに包まれて、初のオフィシャル・ライヴ盤として登場した。基本的にブートのライヴ音源には手を出さない主義(たまに例外はあるけれど)、解説や音専誌のレビューの依頼も断るようにしているので、こういう意匠を纏ったモノにはすぐに飛びつく自分である。

このライヴが重要なのは、76年のライヴ、すなわち約2年しかイエスにいなかったパトリック・モラーツ在籍時のラインナップであること。だから『RELAYER』の<The Gate of Delirium>や<Sound Chaser>のライヴが聴けるし、モラーツのソロ<The Story of I>やジョン・アンダーソン<Olias of Sunhillow>からの抜粋もある。何より興味深いのは、アンコールで演奏されているビートルズ・カヴァー<I'm Down>。そりゃーデビュー直後には、ビートルズだけでなく幅広いカヴァーを取り入れていたイエスだけど、すっかり音楽性が固まっていたこの時期にコレというのは、かなり意外。

モラーツ在籍時のライヴは、映像が残っていたり、『YESSHOWS』などの編集作品に収録があったりしたものの、こういうフル・ヴォリュームでのライヴ・アルバム登場は初めて。個人的に、クラシックかぶれのリック・ウェイクマンより、ジャズやブラジル音楽に造詣が深くてクロスオーヴァー志向があるモラーツの方が自分の嗜好に近いので、『RELAYER』期のイエスは世間の一般的評価よりもずっと高い。サスガにかの名ライヴ『YESSONGS』に優るとは言えないし、演奏ミスもあれば、ノイズが乗ってしまっている箇所もある。それでもプレイの迫力はこの頃でないと得られないモノで、臨場感も抜群。80年代以降、続々出てきた数多のライヴ盤よりは、ずっとずっと愛聴することになりそうだな。

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