ビル・メドレー、84歳の新作は、思い入れたっぷりに歌われるカントリー・バラード集。こうして新しいアルバムが聴けるのは、ブライアン・ウィルソンやフィル・エヴァリーとの共演曲が収められ、ビル・ラバウンティが楽曲提供したり、リチャード・ペイジがコーラスを取った『DAWN NEAR RIGHTEOUS』以来、実に18年ぶり。21世紀に入って、ようやく3枚目のアルバムを出したコトになる。
昨日のポストに引き続いてリチャード・ペリー・プロデュース・ワークスであり、尚且つ、現時点でも廉価盤で購入可能な、あるうちに買っときや!の一枚。ペリーが興したプラネット・レーベル発のマーヴァ・キング、81年1stソロ・アルバム。以前、筆者選曲監修『TOUCH OF SOUL』(03年) というコンピレーションに<Who's Right Who's Wrong>をセレクトしたコトがあったが、アルバムとしては、同じく17年の筆者監修『AOR CITY 1000』シリーズに組み込んで再発したのが、確か世界初CD化ではなかったかな。あれからもう8年も経っているので、在庫が掃けてしまうのは時間の問題だろう。
ジノ・ヴァネリ、2019年の『WILDERNESS ROAD』以来6年ぶりとなるニュー・アルバムが手元に。21年には『(MORE OF) A GOOD THING』というアルバムが出ていたけれど、それは09年作『A GOOD THING』の拡張版で。日本盤が出たのは、元々09年リリースのセルフ・リメイク盤『THE BEST OF BEYOND』を筆者監修【Light Mellow's Choice】(from VIVID SOUND)シリーズで2年遅れで発売したのが最後。それ以来ジノのオリジナル新作は、国内発売されていないことになる、もちろん良い作品ができてきたら、日本にも紹介したい気持ちは山々だが…
書きモノの流れでキャロル・キングの01年作『LOVE MAKES THE WORLD』。リリースからもう24年が経つワケだけど、気がつけば彼女はコレ以降、オリジナル・ソング中心の新作を出していないのだな。企画作としては11年にホリデイ・アルバムがあったし、本作を受けての『LIVING ROOM TOUR』やジェイムス・テイラーとの共演ツアー、更に往年の発掘ライヴなど、リリース自体はそれなりに多かった。キャロル自身がメディアの前に出てくることも、たまにはあった。けれどニュー・アルバムはスッカリ途絶えてしまっていたのだ。
デヴィッド・フォスターのプロデュース、ジェイ・グレイドンやスティーヴ・ルカサーの参加もあって、AOR名盤としてチョクチョク取り上げられる80年作『BI-COASTAL』。それに対して、次に出たアリスタ移籍第1弾の83年盤『NOT THE BOY NEXT DOOR』は、充実した内容の割にどうも扱いが軽い。確かにエアプレイ〜TOTO系勢揃い、とはいかなかったが、アレンジが山下達郎でもお馴染みの巨匠チャーリー・カレロ。多忙のためか、プロデュースから外れたデヴィッド・フォスターも、1曲アレンと共作してピアノを弾いているのにね。
ガイスターとして知られるガエル・ベンヤミンと、かつてナイトシフトというAORユニットを組んでいたフランスのミュージシャン、ジェローム・ブーレ。彼は昨年6月に亡くなっているが、その追悼プロジェクト第2弾として、ジェロームのワンマン・プロジェクト:ルイス・レイクの9年ぶり2作目『INTO THE LENS』が国内リリースされた。輸入盤国内仕様で、解説は筆者が担当している。
ウエストコースト・シーンを代表するヴォーカル・トリオとしてヒットを連発した70年代。ラス・バラードの曲を歌ってポップに、かつAOR寄りにシフトして見せた80年代。しかしその中間期に当たるデュオになってばかりの頃のアメリカは、過渡期として軽視されがちだ。でもメンバー以外の楽曲を取り上げ始めたのは、実はこの時期。次の82年作『VIEW FROM THE GROUND(風のマジック)』ばかりが注目されるけれど、ラス・バラードの楽曲は、早くもこのデュオ2作目『ALIBI』で取り上げていた。